医師が勤務先に地方を選ぶには、さまざまな理由があります。今回は、医師人材紹介会社(以下、紹介会社)のコンサルタントに聞いた、医師から人気が高い地域とその理由について解説します。
趣味充実派、医療貢献派、双方に人気の北海道
自然豊か、観光名所が多い、景色が良い、夏が過ごしやすい、食べ物がおいしい、ウインタースポーツを満喫できる――北海道という土地そのものに魅了され、勤務希望先にする医師は多いそうです。紹介会社のコンサルタントによると、「ウインタースポーツが趣味なので、雪質が良く、降雪期間が長い北海道で余暇を充実させたい」という理由で北海道勤務を希望する医師は一定数いるのだとか。
一方で、北海道は面積が広いため、地域偏在が著しいという側面も。二次医療圏でいうと、上川中部圏や札幌圏に道内の約半数の医師が集中しています。人口10万人あたりの医師数が一番多い上川中部圏は320.5人、一番少ない宗谷圏は95.3人と、同じ道内でも約3倍もの差があります。このような実情を知る医師が「人手不足の地域で働きたい」と北海道勤務を希望する例も少なくありません。なかには、自分の専門科目が最も少ない市区町村を調べた上で、「この地域の求人を教えて欲しい」と紹介会社に問い合わせがあった事例もあるそうです。
若手からベテランまで、幅広く支持される沖縄県
雪が好きな人が北海道を選ぶなら、海が好きな人は沖縄を選ぶ…というのはいささか単純なように思いますが、事実、このような傾向があるのだとか。スキューバダイビング、シュノーケリングといったマリンスポーツが趣味の方、海が好きだからその近くで暮らしたい方、ゆったりした時間の流れに魅力を感じている方など、QOLを重視して働きたい方が多いそうです。
また、沖縄は離島が多いため、離島医として働きたい方にも人気があるそうです。「これまでの経験を活かして総合的に診たい」というベテラン医師、「将来は離島・へき地で働きたいため、経験を積みたい」という若手~中堅医師など、幅広い年代から支持されています。離島診療所は医師が少ないため、自身の医療提供が地域貢献によりつながりやすいのも魅力のようです。
関東からも近い、長野県も人気
北海道、沖縄と、観光地として人気のエリアが地方勤務においても同様であることがわかりました。これに次いで人気の高い地域は、同じく観光地として名高い長野県。その理由について、「スキーや山登りなど余暇を充実させたい」「観光地なので景色がきれい」「新幹線が止まるためアクセスが良い」といった声が多数。特に関東在住者にとっては身近なリゾート地ということもあって、他の地域に比べて親近感を覚えやすいようです。
また、福島県、岩手県や宮城県の沿岸部など、東日本大震災で被災した地域も、「残りの医師人生を捧げたい」「医療を通じて復興支援をしたい」という志を持つ医師の活躍の場になっています。
移住者向けの予算がある医療機関も
紹介会社のコンサルタントいわく、人気の高いエリアの病院は、転職で移住してくる医師のために予算を組んでいるケースが珍しくないそうです。たとえば、北海道の場合「一度は住んでみたい場所」と候補にあがりやすいため、そのような医師をターゲットにしている医療機関も多いとのこと。視察にかかる旅費などを北海道や医療機関が負担してくれるケースもあるようです。
今回ご紹介したのは、あくまでも人気エリアの一部。「夏が過ごしやすい」「余暇を充実させられる」「交通アクセスが良い」など、良いところに目がいきがちですが、“暮らしを営む場所”として大丈夫かどうか、実際に足を運んで確かめてみましょう。医師の中には、転職活動を通じてそれまでなじみのなかった都道府県の魅力を発見し、縁もゆかりもなかった土地への移住を決意した方もいるそうです。移住希望の地域がある場合、その土地に何度も通って情報を得るほか、行政や業界に精通している紹介会社に問い合わせるというのも情報収集の手段になりそうです。
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