1. m3.comトップ
  2. キャリアデザインラボ
  3. 転職ガイド
  4. 転職の事前準備
  5. 「転職しない方がいい」アドバイスの理由は―医師の転職カルテvol.15
転職の事前準備

「転職しない方がいい」アドバイスの理由は―医師の転職カルテvol.15

2019年7月25日

医師人材紹介会社に登録した医師が、必ずしも転職するわけではありません。コンサルタントは、時として「あえて転職しない」という選択を提案します。転職ありきではなく、あくまでも医師にとってプラスになるキャリアを応援したいからです。実際に、転職を取りやめた医師の事例をご紹介します。

「年齢相応の経験」がない場合の転職は注意

コンサルタントが「転職を取りやめたほうがいい」と感じる理由は、年代によって異なります。30代前半までの医師について、あるコンサルタントは次のように話します。
「臨床研修が修了していない医師は、どうしても“一人前”と見なされない傾向があります。若手を受け入れる体制のない医療機関も少なくなく、転職は難航するでしょう。研修を続けられない=人柄に何か問題があるのでは? と、うがった見方をされる可能性もあります」

研修中に妊娠した場合も転職せず、産休・育休を経て現職場に復帰した方がよいそうです。育児と仕事の両立は簡単ではありません。そうした時期に転職すると、“新しい職場に馴染む”という負担が一つ増え、四苦八苦することが考えられます。若手医師が転職をするとしたら、基本的に専門医を取得したあとがよいでしょう。

40代以上についてはケースバイケースですが、これまでに役職経験がない医師は要注意です。医療機関によっては、「なぜ役職に就いたことがないのか?」と疑問視するかもしれません。ただ、それとは逆に、責任の重い役職に就いている医師も、現職に留まったほうが有利なことがあります。
「定年間近であれば気にしなくてもいいのですが、40~50代で役職経験が多かったり勤続年数が長かったりする医師は、現職で給与などが優遇されている可能性があります。転職先でも同様の待遇が約束されるとは限らないため、十分に比較検討することが大切です」

転職活動を取りやめた事例

以下は、実際に転職を取りやめた医師の事例です。

Case1. 専門医取得が難しく、転科の伴う転職を検討
20代の研修医。旧専門医制度下での専門医取得が難しそうだと考え、転科の伴う転職を検討していた。必要な症例数は概ねクリアしていたが、論文が1本不足していた。あと一歩の段階だが、子育て中のため、教授の論文指導を受ける時間が取れなかった。コンサルタントに相談すると「転科をしても専門医取得が簡単になるわけではありません。現職のまま最後の1本の論文を書くことが最も早く専門医になる道で、後悔もないのでは」と提案された。コンサルタントと話し合って懸念事項を整理し、改めて家族との家事育児分担を検討した。すると、何とか論文を書く時間を捻出できそうだとわかり、転職を取りやめた。
Case2. 病棟医長を打診され、荷が重かった
40代の内科医。もともと外科系だったが体を壊し、老年内科に転科した経緯がある。小学生の子どものPTA活動などに関わるため、自宅近くの病院で勤務している。真面目な仕事ぶりが評価され、「病棟医長にならないか」と打診された。自分には荷が重く、子育てとの両立が困難ではと懸念し、コンサルタントに転職相談をした。しかし、現在の勤務先は自宅から最も近く、転職すると通勤時間が長くなる。コンサルタントから「病院側は信頼できる人にしか役職の打診をしない」「リーダー経験は次に転職する際のアピールポイントになる」と聞き、現職で経験を積むことにした。
Case3. 転職活動中に妊娠が発覚
30代の内科医。かねて関心のあった訪問診療に挑戦するために転職活動を開始。将来的な子育てを見据えて、夜間の呼び出しがない働き方を希望した。しかし、内定後面談の直前に妊娠が発覚。このまま入職しても、すぐに休職または離職する可能性がある。入職希望先に妊娠を告げると「ご出産後に、まだお気持ちがあれば入職してほしい」と言われ、ひとまず保留することにした。
Case4. 救急医としてステップアップしたかった
50代の救急医。年間約3000台の救急車を1人で対応していた。救急医療に大きなやりがいを感じており、さらにステップアップするために転職を検討。幸い、ある医療機関から好条件で内定を得た。しかし、自分が抜けたあとの現職場がどうしても気になり、コンサルタントに「自分の欲求を満たすことで生じる損失を見過ごせない」と打ち明けた。熟慮の末、今回の転職は見送り、現職で2番手、3番手を育ててから転職を再検討することにした。

転職活動を開始する前に整理しておくべきポイント

納得のいく転職をするには、転職によって何を叶えたいか、最優先事項は何か、現職の待遇や福利厚生は相場と比べてどうなのかなどを整理することが欠かせません。しかし、自分で対応するのは意外と難しいものです。そのような場合、コンサルタントに相談し、客観的な意見に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。本当に転職すべきか、現職にとどまるべきかが明確になり、自分らしいキャリア形成につながるはずです。

今後のキャリア形成に向けて情報収集したい先生へ

医師の転職支援サービスを提供しているエムスリーキャリアでは、直近すぐの転職をお考えの先生はもちろん、「数年後のキャリアチェンジを視野に入れて情報収集をしたい」という先生からのご相談も承っています。

以下のような疑問に対し、キャリア形成の一助となる情報をお伝えします。

「どのような医師が評価されやすいか知りたい」
「数年後の年齢で、どのような選択肢があるかを知りたい」
「数年後に転居する予定で、転居先にどのような求人があるか知りたい」

当然ながら、当社サービスは転職を強制するものではありません。どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。

エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。

この記事の関連記事

  • 転職の事前準備

    【2024年最新】厳選5社を徹底比較!自分に合った紹介会社の選び方

    自分に合った紹介会社の選び方とは?提供されているサービスや求人、特徴などそれぞれの紹介会社ごとにわかりやすく比較表にしてまとめました。

  • 転職の事前準備

    【動画】転職時に気を付けたい「後悔しないためのポイント」

    転職後に後悔しないために、どんな点に留意すべきか?そのコツを、エムスリーキャリアの現役コンサルタントが解説いたします。

  • 転職の事前準備

    【動画】医師が好条件のバイトを引き寄せる4つのポイント

    最新のバイト市況について、エムスリーキャリアの現役コンサルタントが動画で解説します。

  • 転職の事前準備

    【動画】コロナ禍が明暗を分けた?医師のアルバイト事情

    最新のバイト市況について、エムスリーキャリアの現役コンサルタントが動画で解説します。

  • 転職の事前準備

    【動画】何が違う?転職で成功する医師、失敗する医師

    転職を成功させるための要件について、エムスリーキャリアの現役コンサルタントが動画で解説いたします。

  • 転職の事前準備

    【動画】コロナ減給も?医師が職探しをする前に知るべき動向

    望ましい転職を果たすうえで、求められる人材や求人、キャリアにはどんな変化があるのか? エムスリーキャリアの現役コンサルタントが動画で解説いたします。

  • 転職の事前準備

    【動画】あとで揉めないための「上手な退局」

    退局は転職・転身の中でも特にハードルの高いイベントの一つかと思います。上手な退局の方法について、エムスリーキャリアの現役コンサルタントが動画で解説します。

  • 転職の事前準備

    【動画】「こんなはずでは…」医師の残念な転職を防ぐ方法

    転職後に後悔しないために知っておきたい現状分析とコツについて、エムスリーキャリアの現役コンサルタントが動画で解説します。

  • 転職の事前準備

    医師人生の難所、「退局」の失敗を防ぐ3つのポイント

    よりよい労働条件や、働く環境を求めて医師が転職活動をすることは、もはや珍しいことではありません。しかし、医師の皆さまが常勤のお勤め先を辞める、とくに退局をされる際には、円満かつスムーズにキャリアチェンジを進めるために注意したいいくつかのポイントがあるようです。

  • 転職の事前準備

    まさか昇給無し!?医師転職「こんなはずじゃ…」防ぐには

    思いつくがまま、準備不足のままの転職では、思わぬ禍根を残したり、落とし穴にはまってしまうことも。ここでは多くの医師転職をサポートしてきたエムスリーキャリアのキャリアコンサルタントに医師が転職時に注意すべきチェックポイントについて伺います。

  • 人気記事ランキング

    この記事を見た方におすすめの求人

    常勤求人をもっと見る