企業(産業医・MD・社医)

産業医を取り巻く業界動向

2013年12月20日

働き盛り世代の健康管理や予防医療を担う産業医。社会性の高い業務内容に加え、「当直がない」「臨床現場で感じるストレスが少なそう」といったワークライフバランスへのイメージからも、そのキャリアに興味を持つ医師は多いようです。
しかし、その具体的な仕事内容や、求められる役割は実際に働いてみないと想像しづらいのも事実。また、法律や制度との結びつきも強い領域だけに、「どのように情報収集したらいいかわからない」という声も聞きます。今回は、産業医としての働き方の概況について紹介します。

産業医の有資格者は約9万人―取得の背景はさまざま

産業医 企業イメージ

産業医として働くには、日本医師会や産業医科大学が行う所定の研修を修了するなど、労働安全衛生法に示されている条件のいずれかを満たす必要があります。

厚生労働省が発表した「産業医制度の在り方に関する検討会報告書・参考資料」(2016年)によると、こうした条件を満たした産業医有資格者は約9万人。日本の医師数がおよそ30万人であることを考えると、3人に1人が有資格者であることが分かります。

産業医資格を取ろうとする理由は医師によってさまざまです。「労働衛生や予防医学に興味がある」「臨床的な忙しさから解放されそう」といった魅力を感じているケースもあれば、病院内の産業医業務を行うために「周囲に取得を促された」というケースもあるようです。

法律上、労働者数50人以上の事業所には嘱託産業医の選任、労働者数1000人以上(業務内容によって500人以上)の事業所には、常勤産業医の選任が義務付けられています。総務省の「平成 21年経済センサス」によると、労働者数50人以上の事業所は約16万4000となっており、相当な数の企業が産業医を必要としていることが分かります。

事業場別必要産業医数

社会とともに変わる産業医へのニーズ

企業において、産業医は実際にどんな業務を担っているのでしょうか。
厚生労働省の「労働安全衛生基本調査」(2010年)によると、産業医が関与している業務内容として、事業所の6割以上が、健康診断関連の業務(健診実施、結果に基づく事後措置・再発防止措置の指導など)を回答。これに「健康相談・保険指導の実施」(63.2%)、「職場巡視」(41.9%)などと続いています。

産業医が実際に関与した業務
このほか、労働環境をめぐる昨今のトレンドとして、メンタルヘルスへの対応が企業の課題となっています。同調査の結果では、メンタルヘルス上の理由で1か月以上休業した労働者がいる事業所の割合は5.9%となっており、2005年調査の2.6%から増加。法改正によって、2005年以降、時間外・休日労働が月100時間を超えて疲労の蓄積が認められると申し出た労働者には、医師の面接指導を行うことが事業所の義務として定められるようになるなど、産業医にもその対応は求められるようになっています。

産業医に求められるもの―医学的・環境的にアプローチするために

労働者の心身の健康の保持・増進、さらに快適な職場環境の形成に関する助言、指導などが期待される産業医。職業性疾患や、メンタルヘルスなどへの医学的な知識、労働安全衛生法をはじめとする労働関係の法律や制度へのキャッチアップが必要なのに加え、よりよい職場環境を実現させるためには、企業の立場を理解した上での折衝力が求められる場面もあるようです。

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