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転職の事前準備

コロナ減給、閉院も…医師が職探しをする前に知るべき動向―医師の市場価値を高める転職/バイト探しVol. 1

2021年5月17日

新型コロナウイルス感染症の流行をうけて、医師の皆さまの働き方にも大きな変化が生じているのではないでしょうか。今後のキャリアについて、考える方も少なくないことでしょう。こうした変化の中で、ご自身にとって望ましいキャリアを叶えながら、市場価値を高め、医療機関から求められる医師になるためにはどうしたらいいのでしょうか?第1回のテーマ「自身の市場価値を高めるために医師が知るべきポイント」について、医療業界の動向と、医師キャリアのトレンドからお伝えします。
※この記事は2021年3月に放送されたWEB講演会をテキスト化したものです。

【教えてくれた人】人見 敏広(ひとみ としひろ)氏
エムスリーキャリア株式会社医師キャリア事業部 常勤紹介グループ リーダー
キャリアコンサルタント※
※厚生労働大臣が認定する講習の受講と3年経験の実務経験を満たした上で、試験に合格することで登録される国家資格。キャリアコンサルティング(労働者の職業選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導)を行う専門家。

「コロナで医師の転職は厳しい」は真実か?

——人見さん、まずは最近の医療業界の動向を教えてください。

じつは新型コロナウイルス感染症流行(以下コロナ)以前から、医療業界の動向や医師のキャリア形成の変化は徐々にはじまっていました。新専門医制度が開始されて医師のキャリア形成に影響を及ぼし始め、今後は、医師の働き方改革として「働きかたそのもの」が見直されていくことが予想されています。

さらにコロナ以降、エムスリーキャリアへの相談件数が増加しています。とくに多いのが「転職するかは決めかねているが、情報収集をしたい」という相談です。コロナによって業務負荷が増えた、経営状況への不安、報酬減、バイト先がなくなってしまった、開業していたが閉院することになった等などご状況はさまざまです。

——不安定な状況が続いていますが、転職の実際のところはいかがでしょう?

2020年の春、最初の緊急事態宣言が出された直後は、一時的に求人数が減りました。しかし、夏頃から回復し、現在では昨年と同水準の求人数がございます。科目によっては求人数が減っている科目もありますが、全体としては変わらず、条件も去年と大きな差はない印象です。地域によっては、提示年収がアップしているところもあります。

——増えている求人には、どのようなものがありますか。

訪問診療や自由診療は、コロナの影響を受けていない印象です。自由診療は先生方からも人気が出ており、応募数が増えています。しかしコロナに関係なく、人気の求人には応募が集中します。とくに、都市部を中心に、採用要件が厳しくなる傾向がございます。

新専門医制度で大学医局は力を取り戻すのか?

——次に、冒頭でも触れられていた「新専門医制度」について教えてください。新専門医制度は、医療業界のトレンドや、医師のキャリアチェンジの傾向にどんな影響を及ぼしましたか?

先生方はよくご存じの通り、2018年から新専門医制度がはじまり、これまでよりもさらに専門医資格を取得するためのハードルが上がりました。とくに、外科系では事実上、大学医局に所属していなければ取得が難しい、という状況が生まれています。では大学医局が強さを取り戻すのか、というと、必ずしもそうではありません。

——と、言いますと?

やはり大学病院における医師の仕事は、市中病院と比べてもハードであることが知られています。しかも給与にも差がある。将来へ向けて明確なビジョンがあり、絶対に専門医を取るんだ、という方は大学に残りますが、必ずしもそうではないことは皆様ご存知の通りです。

医学生の中には、「こういう医師になりたい」という明確なビジョンを持たず、成績が良かったから…というような理由で医学部を選択される方もいらっしゃいます。何となく医師になった、と言うだけでは、大学病院のハードな業務に耐えるのは難しいのではないでしょうか。

「こんなに要件が厳しく時間もかかるのなら、専門医資格はいらない。専門医資格にはこだわらない」と言う方も以前に比べて増加しているようです。専門医資格が必要なければ、大学以外の勤務先を自由に選ぶことができますよね。

——しかも、世の中は「働き方改革」に大きく舵を切り、長時間労働をやめて、プライベートを充実させよう、という流れができていますよね。医療の現場でも「働き方改革」は浸透しているのでしょうか?

はい、一般と比べて働き方改革がなかなか進まない医療現場ではありますが、先生方が長時間労働の是正やプライベートの充実を望まれるのも、当たり前のことだと思います

数年前までは、「医師の転職」というと、40~50代以上の、中堅以降の男性が多かったように思います。ある程度、医局で研鑽を積んで、専門医資格も取得して、お礼奉公をして。そこからいろんな事情があって転職に至るというのが一般的でした。それが、ここ数年で若い先生方の転職希望がぐっと増えたなという印象があります。

例えば、医局では積めない経験をしたい、といったようなスキルアップの転職もあれば、QOLを重視したいという方も。また、専門医を取得したタイミングで大学医局を出ることを検討しているという方もいらっしゃいます。最近では訪問診療や自由診療、産業医など、多様な働き方を考えている先生も多い、という印象を受けます。

かつてと比べて、フリーランスの医師や起業をされる医師など、若いうちから色々な働き方をする医師の存在が目に見えるようになって「医局に所属しない」と言うことについての心理的なハードルが下がっているのかもしれません。

——人見さんご自身は、専門医資格について、どのようにお考えになりますか?

転職における市場価値や、ご開業の際のブランディングなどの意味で考えるのであれば、取得しておいて損はないと個人的に思います。新専門医制度では、民間病院で取得できる専門医資格は限られますから、専門医を取得したい若手医師は大学医局に入り研鑽を積む、というケースが増えてくることは予想されます。

ただし、先ほども申し上げましたように、専門医を取得するためのハードルは上がっています。「なんとなく専門医が欲しいな」というお気持ちだけでは、難しいかもしれません。また、仕事だけではなく、プライベートな時間の確保、結婚や子育てなどのライフイベントを考えると、必ずしも一直線に専門医資格を取得することが正解だ、とは言い切れない部分があるでしょう。

自分がどんな医師になりたいのか、将来にわたってどんな医療をしていきたいのか、という核の部分、“ビジョン”をしっかり考えていただくことが先決かと思います。(Vol.2に続く)

【提供:m3.com Doctors LIFESTYLE】

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