1. m3.comトップ
  2. キャリアデザインラボ
  3. キャリア事例
  4. 事例
  5. 医師で声優 異例のキャリアで医療に貢献―医師と2足のわらじvol.1
事例

医師で声優 異例のキャリアで医療に貢献―医師と2足のわらじvol.1

2018年11月6日

アニメ好きが高じ、診療のかたわら声優活動にも取り組む村本耀一先生。「夢はアニメのメインキャラクターのアフレコをすること」と語る村本先生ですが、医師と声優、全くの畑違いとも思われる職業での”2足のわらじ”を履いているからこそ、目指す医師像があるそうです。

声優と医師 畑違いの領域で一歩踏み出したわけ

―現在、声優の専門学校に通いながら、ナレーションなどの依頼にも応じていると伺いました。まず、診療の傍らで専門学校に通い始めたきっかけについて教えてください。

もともとアニメが好きで、医学生時代から漠然と、「声優にチャレンジしたい」と思っていたんです。尊敬する声優が30代からデビューしたというのもあって「医師になった今からでもまだ遅くない」と思えたのも大きいですね。
医師という職業では、患者さんの気持ちを受け止めながらも取り乱さず、冷静に対応することが求められるのに対し、声優の仕事には、与えられた役柄を理解し、自分の中にある感情を増幅させたうえで表現することが求められます。僕はもともと、感情表出が得意なタイプではなかったからこそ、そんな声優という職業に対する憧れが大きくって――それで思い切って、2017年5月から声優の専門学校に通い始めました。

正直なところ、小さい頃から自分の声にはコンプレックスがありましたし、自分よりもはるかに年下の人たちの中に紛れてゼロから訓練を積むことに、ためらいはありました。「声の力で人の心を動かす」という難しさとは今も格闘中ですが、ただ最近は、役になり切る面白さを感じられるようにもなってきました。平日は病院で診療に携わりつつ、お休みの日や空いた時間を利用して、声優としても指導を受けたり少しずつ、実際に活動させていただいたりしています。

―現在、声優としてはどんな活動をされているのですか。

学校で公募されている案件で面白そうなものを探して、応じています。ドラマCDの脇役を担当したり、ナレーションの仕事を引き受けたりすることが多いですね。
並行して力を入れているのが、友人と始めたオンラインでのラジオ番組のMC活動です。この番組の主眼は、医療とITをめぐる最近のトピックについて医師の目線でざっくばらんに取り上げて、リスナーの方々に医療業界への理解を深めてもらうこと。このほか、舞台演出家の友人とも企画を練っているところなのですが、いろんな診療科の「あるある」をまとめた音声コンテンツをつくれないかとも考えています。そういうコンテンツがきっかけになって医師を身近に感じてもらえたら、一般の方の医療に対する心理的なハードルも下げられるのではないか、と。


―「一般の方の医療へのハードルを下げる」のも、先生にとっては一つのテーマなのでしょうか。

はい。臨床現場でたくさんの患者さんに出会う中で、「病気になる手前の方々にもっと多角的にアプローチできないか」と思ったんです。その問題意識に、声優活動にも手を出そうとしている自分だからこそできる方法で向き合えたら面白いんじゃないかと考えまして。

一般的な声優は、何かアニメ作品がないと仕事がない。つまり自分一人の力では、なかなか仕事をつくりだせないんです。しかし自分には医師というバックグラウンドもあるし、日常の臨床で思うこともある。2足のわらじを履いている強みを生かして、自分なりのスタイルで社会に貢献できたら良いなと思っています。最近では自分と同じように情報発信に意欲的な医療者を巻き込んで、「どうしたら自分たちの思いを、コンテンツという形にできるのか」を考えるオンラインのコミュニティも主催するようになりました。

病院の外に出て、気づいたこと

―医師と声優、2足のわらじを履いていることをうまくご自身の活動につなげていらっしゃるのですね。

そうできたら理想的だなと思っています。やはりせっかくなら、自分でなければできないことに挑戦したい。
病院を飛び出して医療業界の外にいる方々と話すようになったことで、「一個人として自分が社会に対して何ができるんだろうか」と強く考えるようになったんです。病院の中では「数ある医師の1人」ですが、病院の外に出ると医学的な知識を持ったスペシャリストとして、いろいろな期待もされますし、逆に、医療業界にない知見を他の業界の方から教えていただける。院外との節点を持つことで、「自分が社会の中でどうありたいのか」をすごく意識するようになったと思います。
2018年夏にはヘルスケアハッカソンという、制限期間内にITサービスを開発する大会にも参加し、どんなプロダクトがあればよさそうか、医師としての知見を発表させてもらったのですが、それが最優秀賞をいただけて――自分の知見には、対外的に発信する価値があるんだと、一定の自信にもつながりました。

軸は医師。優しい視点で一貫して人に寄り添える存在でありたい

―臨床に声優にアプリの開発に…と、非常に精力的に活躍されているご様子ですが、今後の目標についても教えていただけますか。

いろいろ手を出している状況ではある一方で、正直なところ、医師としても声優としても、僕は本当にまだまだこれからなんです。他の先生方からも認めてもらえるよう、臨床スキルも向上させなければなりませんし、声優の専門学校で学んだことも生かしつつ、一般の方に医療をもっと身近に感じてもらえるよう、作品づくりやサービスの開発にも携わりたい。何だか欲張りすぎかもしれないですが、自分にしかできない形で社会に貢献する方法を、模索し続けたいというのが根底にある思いです。

ただ、いろんなわらじを履いてしまっている状態ではあるのですが、自分の主軸は医師業だと思っていて。本来的には放射線治療医として、不安を抱えるがんの患者さんを支えられる存在になりたい。病気になる手前の「健康」の支援から、終末期のサポートまで。優しい視点をもって、一気通貫で人に寄り添えるような医療者になることが、僕にとっての究極的な目標なんです。

【提供:m3.com Doctors LIFESTYLE

従来の価値観に とらわれない働き方をしたい先生へ

先生の「やりたい」を叶えるためには、従来の働き方のままでは難しいとお悩みではありませんか。

  • 医師業と、自分のやりたいことを兼業したい
  • 病院・クリニック以外で医師免許を生かして働きたい

もし上記のようなお考えをお持ちでしたら、エムスリーキャリアのコンサルタントにご相談ください。

エムスリーキャリアは全国10,000以上の医療機関と提携して、多数の求人をお預かりしているほか、コンサルタントの条件交渉によって求人を作り出すことが可能です。

この記事の関連キーワード

  1. キャリア事例
  2. 事例

この記事の関連記事

  • 事例

    オリンピック出場を目指す研修医の思い―医師と2足のわらじvol.19(後編)

    初期研修医と世界クラスの山岳ランナーという二つの顔を持つ髙村貴子先生。今シーズンからは山岳スキーも始め、年間を通じて山を駆ける髙村先生は、将来にどんなビジョンを描いているのでしょうか。医師として、山岳ランナーとして目指している場所を伺いました。

  • 事例

    研修病院決定の決め手は「そこに山があったから」―医師と2足のわらじvol.19(中編)

    長野県で初期研修医として働いている髙村貴子先生は、国内では敵なしの実力をもつ山岳ランナーでもあります。初出場したレースでいきなり3位に入賞したのが医学部2年生のとき。ときには海外にも転戦する山岳ランナーと医学生をどのように両立してきたのでしょうか。卒試・国試を控えた6年生のときの過酷なエピソードや研修医生活との両立についても伺いました。

  • 事例

    国試の前は地獄…山岳ランナーと医学生の両立―医師と2足のわらじvol.19(前編)

    長野県で初期研修医として働いている髙村貴子先生は、国内では敵なしの実力をもつ山岳ランナーでもあります。初出場したレースでいきなり3位に入賞したのが医学部2年生のとき。ときには海外にも転戦する山岳ランナーと医学生をどのように両立してきたのでしょうか。卒試・国試を控えた6年生のときの過酷なエピソードや研修医生活との両立についても伺いました。

  • 事例

    エンジニア、研究者を経て“ゴール志向じゃない自分“を肯定―医師と2足のわらじvol.18(後編)

    医学部を卒業後、ゲノム研究者とエンジニアを両立する日々を送っていた鈴木晋氏。「臨床がわからないと研究も深まらない」と考え、スキップしていた初期臨床研修を受けようと決意しました。その後、大学院でのプログラミングを用いた医学研究を経て、「治療アプリ」を研究・開発する株式会社CureAppの創業メンバーに。現在は、臨床を続けながら、同社の最高開発責任者(CDO)として開発全般を指揮しています。実は少し前まで、“ゴール志向”でない自身のキャリア観を肯定できずにいたとか。CDOとして働く現在は、どのように捉えているのでしょうか。

  • 事例

    保険適用アプリ開発までに模索した、医師兼エンジニアの道―医師と2足のわらじvol.18(前編)

    病気を治療するアプリ”の保険適用に向け、日本で治験が進められていることをご存知ですか?「治療アプリ」の研究開発を行う株式会社CureAppで、最高開発責任者(CDO)としてアプリ開発を牽引するのは、現在も臨床を続ける医師であり、エンジニアでもある鈴木晋氏です。独学でプログラミングを始めたのは、医学部在学中。その後、エンジニアとしての腕を磨きつつ、ゲノム研究者としての道を歩み始めました。鈴木氏はそのユニークなキャリアをどのように模索し、治療アプリの開発にたどり着いたのでしょうか?

  • 事例

    「外科医に未練なし」バーテン医師の決意―医師と2足のわらじvol.17(後編)

    外科医兼バーテンダーの江原悠先生。医師としてのキャリア観に加えて、お店に来るお客さん、診療する患者さんに向き合う際に気を配っていることについても伺いました。

  • 事例

    30代で常勤医から離脱 バーテンダーの道へ―医師と2足のわらじvol.17(前編)

    東京都杉並区に2019年5月、「BAR Hoya」というお店がオープンしました。オーナー兼バーテンダーは、外科医でもある江原悠先生。30代で常勤医のキャリアから離れ、自分のバーを始めた経緯や、現在のワークスタイルについて伺いました。

  • 事例

    「アニサキス」も曲に メタル女医の徹底ぶり ―医師と2足のわらじvol.16(後編)

    形成外科医と医療系メタルバンドのボーカルという二足の草鞋を履くババロア先生によると、医学部とメタルには、意外な親和性があるそうです。医師とバンドマン、双方のプロとして多忙な毎日を送る先生に、今後の展望を伺いました。

  • 事例

    メタルバンド女医「人一倍頑張ってきた」―医師と2足のわらじvol.16(前編)

    形成外科医であるババロア先生のもう一つの顔は、医療系メタルバンド「Anatomy」のボーカリスト。3月にリリースしたミニアルバムが、発売週にディスクユニオンヘヴィメタルチャートで1位を獲得するなど、バンドの注目度も上がっています。医師兼バンドマンというユニークなキャリアを歩み始めたババロア先生に、医師を志したきっかけやバンド活動への思いを伺いました。

  • 事例

    視点の“ズレ”はむしろアドバンテージ―医師と二足のわらじvol.15(後編)

    産業医・スポーツドクターとして活動する傍ら、テニスプレーヤーとしてもトップを目指し研鑽を重ねている岩井勇策先生。先生が自分自身に実践している“整形外科的集学的治療”とは、一体どのようなものなのでしょうか。医療とテニス、どちらにも全力で向き合う原動力を教えてくれました。

  • 人気記事ランキング